ベートベン作曲の交響曲第9番についてわかりやすく解説!
ベートーベンが伝えたかったメロディーは何なのか?、音符が意味していることは?、有名な合唱の部分《歓喜の歌》が言いたかったことなどなど・・
知っていれば《第九》の演奏がもっともっと楽しくなる、そんなことをまとめています
『今度はじめて第九を弾くんだけど、第九ってどんな曲なんだろう?』
『《第九》のことってぶっちゃけ有名な歓喜の歌しか知らない』
こんにちは、超絶緊張しいヴァイオリニストのめっしーです
今度、はじめて《第九》を弾くのですね
第九はなかなかの難曲なので曲を練習するだけ、音符を並べるだけで、一杯いっぱいになってるかもしれません
でも、それだけじゃあもったいない
超もったいない
第九はベートーベンの集大成、面白い部分がいっぱいあります
なんか合唱がついている曲なんでしょっ、てしか知らない、、、っていうならちょっと第九についてこの記事で勉強してみよう
《第九》について知ると、第九を演奏するのが1000倍楽しくなります
すみません、、1000倍は盛りすぎました、、2.5倍ぐらいは楽しくなると思います
この記事では第九をはじめて弾くっていうあなたに、第九についてできるだけわかりやすくお話しています
第九のどんなところがベートーベンが工夫を凝らした部分なのか?、音符の意味することは何なのか?、合唱の《歓喜の歌》が伝えたかったことはなんなのか?などなど、、、
この記事の内容はいろんな書籍から得た知識をもとにしているのはもちろん、オーケストラでの練習時に指揮者の先生がおっしゃったことなども書いているので、はじめて第九を弾くならきっと参考になると思います
それじゃあ、いってみよう
アマチュアヴァイオリン奏者、ヴァイオリンは大人から(18歳から弾いています)
アマチュアオーケストラで、セカンドヴァイオリンのトップ奏者をしています
トップ奏者なのに超ビビりです
超ビビりな自分に悩みすぎて、カウンセリングを受けたことも・・
第九は最近はほとんど毎年弾いていて、
セカンドヴァイオリンのトップで2回、ファーストヴァイオリンで2回演奏しました
ベートーベンの第九、、、毎回感動がありますね・・・
読みたいところから読んでねー
ベートーベンが《第九》を作曲するまで【30年越しの想い】
《第九》はベートーベンにとって思い入れの強い曲、30年越しの想いが詰まっています
ベートーベンが《第九》を作曲するまで、どんなことがあったの?
《第九》といえば《歓喜の歌》
年末になると日本中が《歓喜の歌》だらけになりますね
《歓喜の歌》を聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽
《歓喜の歌》の歌詞はもともとドイツの詩人、シラーが書いた詩の《歓喜に寄す》からきている
《歓喜に寄す》は超簡単にいうと、自由と平等を書いたもの
貴族がいて、平民がいて、っていうのがベートーベンの時代は普通だったんだけど、《歓喜に寄す》では貴族とか、平民とか、差別するのって良くないよねーってことが小難しく書かれています
《歓喜の歌》の歌詞もとになった詩《歓喜に寄す》にベートーベンが出会ったは、ベートーベン23才のころ
ベートーベンは詩《歓喜に寄す》に感動します
なんだこの詩は、かっちょいい
ベートーベンはセンセーショナル(人々の興味や関心を引きつける、という意味)な詩《歓喜に寄す》に感動するあまり、こんなことを考えます
《歓喜に寄す》を音楽で表現したい
でも、ベートーベンはすぐに《歓喜に寄す》の曲を発表しない
まだ、《歓喜に寄す》を音楽にするには未熟だと考えていたからかもね
ベートーベンのスケッチには《歓喜に寄す》を使って作曲していた跡がたくさん残ってるんだけど、
ベートーベンが第九の作曲にちゃんと取り掛かったのは、ベートーベン53才ごろ
なんと、《歓喜に寄す》という詩に出会い、感動してからなんと30年
ベートーベンは狭い部屋で孤独とともに《歓喜の歌》のついた《第九》を作曲します
《第九》はベートーベンにとって30年越しの想いが詰まった曲
もっとベートーベンの人生について知りたい、そんなときはこちら▽
第九は『ニ短調』の曲【ニ短調ってなんなん?】
《第九》は『ニ短調』の曲、
『ニ短調』がどんな調性かっていうと、死とか人生とか、なんか重苦しい空気にしたいときに使われる調性
ぼくは「死」をイメージさせるような、暗い音楽に『ニ短調』使っているよ
《第九》の正式名称は、
交響曲第9番 ニ短調《合唱付》っていわれます
交響曲第9番っていうのは、わかる、9番目の交響曲
《合唱付》っていうのもわかる、合唱が付いてるんでしょって
でも、『ニ短調』って何?何を意味するの?ってなると思う
『二短調』は「死」や「人生」とか暗くて、重苦しい音楽にしたいときに作曲家が選んで使う調性です
調号が一つ(♭1つ)だけなので響きの濁りは少ないが、かなり重いトーンを秘め、かすかに死の匂いがする悪魔的な暗さを漂わせる。
調性で読み解く クラシック 吉松隆著
《第九》の音楽が重々しいのは、『ニ短調』を選んでいるからってことも理由の一つ
ちなみに、1楽章と2楽章は『ニ短調』、3楽章は『変ロ長調』、4楽章は『二長調』
『変ロ長調』はおごそかな感じの音楽に使われたりする、『二長調』は神様を表現する調
第九のメインテーマは『レ』と『ラ』
第九のメインテーマは『レ』と『ラ』
全楽章を通して、『レ』と『ラ』がでてきます
1楽章の1つの目のメインテーマに『レ』と『ラ』が入っている▽
2楽章のド頭は『レ』と『ラ』のオクターブ▽
3楽章の1つ目のメインテーマの始まりも、『レ』と『ラ』から始まる▽
4楽章の冒頭です、ここでも懲りずに『レ』と『ラ』が使われています▽
なんでベートーベンは『レ』と『ラ』に注目したの?
はじめに結論いっちゃうと、『レ』と『ラ』が5度という神秘的な和音だから
まず、ベートーベンの第九はニ短調の曲、だから『レ』が基本と鳴る音
『レ』の相方に『ラ』をなんで選んだかってなるよね?
それは、『レ』と『ラ』が5度という関係にあるから
①ラ ②シ ③ド ④レ ⑤ミって感じだから5度ね
5度の和音はとっても神秘的です、なんでかっていうと
5度は長調でも、短調でもないから、です
長調とか、短調を決めるためにはもう一音必要で、
例えば『レ』と『ラ』に『ファ』をくっつけると短調だし、
『レ』と『ラ』に『ファ#』をくっつけると長調になる
5度は長調でも、短調でもない、なんかフワフワした、不安定な感じが、神秘的で、フワフワした宇宙みたいな和音
だから、ベートベンは『レ』と『ラ』をメインテーマに選んだんだ
『レ』と『ラ』をメインテーマに選んだのは、神秘的で宇宙的な感じを出したかったからなんだ
1楽章
1楽章について解説するよ
第1楽章は一番ベートーベンらしい、悪く言ったら堅苦しい、良く言えば熱い楽章
1楽章はソナタ形式【ソナタ形式って何?】
1楽章はソナタ形式のニ短調の曲
ソナタ形式って何?って思うかもだけど、簡単に言うとテンプレです
こうやったら、あなたの伝えたいメロディーや考えが聞いている人にわかりやすいですよーっていう型がきまっている
具体的には『提示部』⇒『展開部』⇒『再現部』っていう形式をとっている
言い換えると『自分の一番言いたいことは○○』⇒『○○についてもっと語らせて』⇒『大事なことだからもう1回○○について話させて』って感じです
難しそうで避けてたけど、ソナタ形式ってわかりやすく自分の考えを伝えるためのテンプレだったんだ、
1楽章のメインテーマ
1楽章は次の2つのメインテーマからできています
さっき説明したソナタ形式からいうと、提示部っていう部分、ベートーベンが1楽章で1番伝えたかった想いが入っています
1つ目のメインテーマがこれ▽
1つ目のメインテーマを演奏してみました▽
ベートーベンらしい、情熱的で、重厚なテーマだね
そして、2つ目のメインテーマがこちらです▽
*Fl=フルート、Ob=オーボエ、Cl=クラリネット、Fg=ファゴットの略です
木管楽器が奏でる2つ目のテーマをヴァイオリンで弾いてみました▽(動画の左が2つ目のメインテーマを弾いています)
なんか、とっても伸びやかなメロディーだね
この2つのメインテーマは、ちょっと難しい言葉で言うと『主題』って言われます
『主題』は1楽章でベートーベンが1番言いたかったこと、伝えたかったメロディーのこと
1楽章では2つのメインテーマが形を変えてでてくる
演奏しながら、あっこれはメインテーマが変身したメロディーかなって考えながら聞くととっても面白いよー
1楽章の冒頭は宇宙【5度の和音】
1楽章の冒頭はセカンドヴァイオリンとチェロの5度の和音から始まる▽
第九の1番はじめ、冒頭はラとミの5度の音程、神秘的な美しさを楽しもう
ちなみにラから数えてミが5番目の音だから、5度の和音
①ラ ②シ ③ド ④レ ⑤ミって感じ
5度の和音は宇宙を感じさせる、神秘的な和音
1楽章の冒頭を弾いてみました▽(動画の左の人達が5度の音程できざんでいます)
なんで5度の
和音はこんなにも神秘的なの?
5度の和音はなんでこんなにも神秘的なのか?
答えは、長調でも短調でもないから、不安定だから神秘的に聞こえます
ラとミの5度の和音にドの音を足すと、短調で暗い響き
ラとミの5度の和音にドの#を足すと、長調で明るい響きになる
5度の和音は長調でも、短調でもなくて不安定でフワフワしている感じだから、神秘的な感じになる
《歓喜の歌》が顔を出す瞬間
歓喜の歌を思わせる瞬間が1楽章にあります▽
何が4楽章の《歓喜の歌》に似ているかっていうと、音型が似ています
1楽章のオレンジの枠の部分を弾いてみると、、
4楽章の《歓喜の歌》を弾いてみると、、
調は違うけど、音の上がって下がっての形は一緒だねー
4楽章の《歓喜の歌》のメロディーを1楽章にコッソリ隠しておいた
かっこいいフーガ
1楽章にはかっこいいフーガの部分があります
フーガの部分の楽譜▽
激熱な部分なので、楽器をガンガン鳴らして弾いてください
腕だけじゃなくて、体の重さを楽器に乗せる感じで弾く
1楽章のフーガを聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽
かっこいいねー
もし弾くのに余裕があったら、合奏で他のパートも聞いて弾いてみよう
音階が重なる【昇っていく音階と下っていく音階の重なり】
1楽章の特徴で面白いなーってところの一つに、昇っていく音階と下っていく音階が重なるっていう点がある▽
普通はみんなで昇って、みんなで降りてって感じなんだけど、昇るパートもあれば、音階を降りてくるパートもあります
昇るパートと降りてくるパートが重なることで、なんか不安というか空中に浮いているというか、無重力空間を味わうことができる
実際に昇る音階と、降りる音階が重なるとこんな感じ▽
なんかドキドキというか、ソワソワというか、宙に浮いているみたい(笑)
邪悪なキザミから1楽章のクライマックへ
513小節目からは半音階のキザミ▽
半音階はなんか不安定で、不気味な感じ、邪悪な感じ
そして、繰り返される半音階の効果で、聴いている人は興奮していく
簡単なパターン、しかも不安定な半音階の繰り返し、これは人間の興奮をあおるようにできています
《第九》虎の巻 歌う人・弾く人・聴く人のためのガイドブック 曽我大介著
不安定な半音階で、どんどん気持ちが高まって、1楽章のクライマックスにつ繋がっていく
実際に不気味な半音階から1楽章のクライマックスを聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽
半音階って聴いている人の気持ちを興奮させる役割があるんだね
そうそう、なんか不気味な感じでドキドキするでしょ?
ベートーベンは半音階を使うことで、聴いている人をドキドキさせようとしたんだ
第2楽章
2楽章について話していくよ
2楽章はなんといってもティンパニー
2楽章は別名『ティンパニー協奏曲』なんて呼ばれたりするよ
2楽章にスピード感のある音楽を持ってきたベートーベンの工夫
2楽章はスピード感のあるスケルツォという音楽です
ベートーベンが生きていた時代、 2楽章にスケルツォをもってきたのはとっても斬新なことでした
ちなみにスケルツォは《活発で、おどけた感じの3拍子の曲》っていう意味です
おどけたっているのは、面白いことをして、人を割らせるっていう意味
ベートーベンの時代では、1楽章にアレグロ(速めの曲)⇒2楽章にアダージョ(ゆっくりな曲)⇒3楽章にスケルツォ(3拍子の踊りの曲)⇒4楽章にプレスト(速い曲)っていう流れが普通だったんだけど、
第九では 、1楽章にアレグロ(速めの曲)⇒2楽章にスケルツォ(3拍子の踊りの曲)⇒3楽章にアダージョ(ゆっくりな曲)⇒4楽章にプレスト(速い曲)
っていう風に、アダージョとスケルツォをひっくり返してます
なんで、アダージョ(ゆっくりな曲)とスケルツォ(3拍子の踊りの曲)をひっくり返したの?
なんで、アダージョ(ゆっくりな曲)とスケルツォ(3拍子の踊りの曲)をひっくり返したかというと、4楽章の盛り上がりを際立たせるためです
最後のクライマックス(第4楽章)の前に、激しい冗談のような音楽(スケルツォ)をもってくるよりは、優しい穏やかな音楽(緩除楽章)にしたほうが、クライマックスがより盛り上がるからでしょう。
ベートーベンの交響曲 金聖響、玉木正之著
4楽章をドカーンと派手に見せるために、その前の3楽章は静かにしたい
だから、ベートベンはアダージョとスケルツォをひっくり返したんだ
2楽章のメインテーマ
2楽章は2つのメインテーマでできています
《テーマ①》リズミカルな3拍子
1つ目のメインテーマはリズミカルな3拍子の音楽
2ndヴァイオリンからはじまり、弦楽器が続いて入っていく
そして大きな音楽になっていく、そんなテーマ
ちなみに、2ndヴァイオリンは死ぬほど緊張します
2楽章が始まる前、2ndヴァイオリンはソワソワし始めます
2ndヴァイオリンがこれからの音楽をリードしていかなくちゃいけない超大事な役割
ミスれない
緊張感MAXの場面です
ビビってる2ndヴァイオリンに注目
君のことね(笑)
《テーマ②》ひと時の安らかな音楽
2楽章の2つ目のテーマは一瞬訪れる安らかな音楽
緊張感のある2楽章の1つ目のテーマと正反対で、
何かを包んでくれるような、そんな音楽
2楽章はなんといってもティンパニー【ティンパニー協奏曲です】
2楽章を演奏するときに、よーく聞いて欲しい音
それはなんといってもティンパニーです、ティンパニーの音を聞こう
2楽章は『ティンパニー協奏曲』なんていう風に言われたりする
ベートーベンはティンパニーをソロ楽器まで高めました
もっとティンパニーが活躍できないか、めちゃんこ考えた
ベートーベンがティンパニーをかっこよくするために考え出したのが、ティンパニーの音を主音と主音から見て5度の音じゃない音にしたこと
ベートーベンが作曲家として活躍する前は、主音と主音から見て5度の音をティンパニーが叩くのが普通だった
主音っていうのは、調のメインの音のこと、2楽章は二短調なので、『レ』の音、そして『レ』から5度の関係にある『ラ』の音をティンパニーが叩くのが普通
でも、《第九》の2楽章では、『レ』と『ラ』じゃなくて低い『ファ』と高い『ファ』の音になっています
実際に2楽章のティンパニーの楽譜を見てみると、ベートーベンの時代に普通だった『レ』と『ラ』じゃなくて、『ファ』になっているね
『レ』と『ラ』じゃない『ファ』の音を叩くことで、ティンパニーの音がバリッとしっかり聞こえます
みんなが弾いている『レ』と『ラ』じゃない『ファ』の音をティンパニーが叩けば、もっとバリっとティンパニーの音が聞こえる
実際にティンパニーが活躍しているところ、爆発しているところを聞いてみよう
ティンパニーが熱く、火を吹いている部分▽
ティンパニーかっちょいいーね
2楽章はティンパニーが王様みたいなもん、みんなティンパニーの音楽についていくしかない(笑)
第3楽章
3楽章の見どころについてお話するよ
3楽章を一言でいうと『天国の音楽』、もう美しくて美しくて、ベートベン先生の曲の中で一番美しいんじゃないかと思う
3楽章のメインテーマ
3楽章には2つのメインテーマがあります
冒頭から24小節目が1つ目のメインテーマ▽
3楽章の1つ目のテーマを聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽(演奏が始まって3分までが1つ目のテーマメロディーです)
いやね、冒頭からの第1主題がもう美しいです
溜息が出るぐらい美しい
他のパートをよーく聞いて弦楽アンサンブルを楽しんでください
感動してください
3楽章の25小節目からが、2つ目のテーマになります▽
3楽章の2つ目のテーマを聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽
ベートーンはいつも目立たない2ndヴァイオリンとヴィオラに美しい、天国のようなメロディーを弾かせています(笑)
2ndヴァイオリン、ヴィオラで3楽章の2つめのメインテーマを弾くときはビビらずに行きましょう、もう死ぬほど歌って弾いてください、そんなもんで丁度いい(笑)
この2つが3楽章のメインテーマ、ベートーベンが一番言いたかった、伝えたかったメロディー
2つのテーマが3楽章の中で、形を変えながら出てくるよ
『ソ』だらけのメロディー
3楽章にはほとんど『ソ』だけでできたメローディーがでてくる
なんのこっちゃーってなると思うので、実際の楽譜を▽
オレンジの枠で囲んだ部分がほとんど『ソ』だけのメロディー
実際にほとんど『ソ』だらけのメロディーを弾いてみた▽
ベートーベン先生は『ソ』だけでメロディーが作れるみたい(笑)
ほんとだっ、オクターブでソソソソ ソソソソ ソソラシ
『ソ』ばっかり(笑)
弦楽アンサンブルを楽しむ【ピッチカートの響きを楽しんで】
3楽章は1stヴァイオリンがメロディーを弾いて、他の弦楽パートがピッチカートを受け渡すっていう場合が多い
メロディーを弾く1stヴァイオリンはピッチカートの音程、響きを聞いて、乗っかって弾くし、
ピッチカートは音を受け渡すように、響きを楽しんで弾こう、ピッチカートつまんねえなんて思わないように・・・
例えば、99小節目がまさにで、1stヴァイオリンがメロディー、ほかの弦パートがピッチカードで掛け合います
今自分は誰と一緒に動いて、どのパートにピッチカートを受け継ぐのかっていうをのわかっておくと、もっとアンサンブルが楽しくなるよ
2nヴァイオリンならヴィオラと一緒にピッチカートをやって、チェロさんとコントラバスさんにピッチカートを渡すって感じね
ホルンの見せ場
3楽章にはホルンの見せ場があります
見ているだけで、聴いているだけで足が震えそうな、お腹が痛くなりそうなホルンのドソロがある
3楽章のホルンのドソロ、見せ場であり、超緊張する(らしい)場面▽
ホルンのソロを聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽
ベートーベンが生きた時代はホルンがとっても進化した時代、奏法的にも、楽器の性能的にもね
ベートーベンはホルンの進化を見逃さずに、3楽章にこんなにも美しいソロをいれたんじゃないかって思う
私の生きた時代、ホルンに弁がついたり(ホルンできたては弁がなくて、1本の管)、ハンドストップ奏法なんていう、新しい奏法が生まれたりした
2ndヴァイオリンの見せ場
3楽章の2つ目のメインテーマも2ndヴァイオリンの見せどころなんだけど、もう一か所、2ndヴァイオリンの見せ場がある
それが133小節目のヤタターの連続▽
2ndヴァイオリンのもう一つの見せ場を聞いてみたい、そんなときはこちらをチェック▽
上の楽譜でオレンジで囲んだ部分は、管楽器を含めても2ndヴァイオリンしかない音の形
2ndヴァイオリン以外は音を伸ばすだけっていうところです
楽譜にはppなーんて書いていますが、無視してfとかffとかで弾いてって言われます、死ぬ気で弾いてって(笑)、2ndヴァイオリンしか弾いていない、大事なリズムなので
133小節目のヤタターは2ndヴァイオリンにしかない、大切なリズム
4楽章
合唱のある4楽章について解説するよ
演奏していれば、疲れてヘロヘロになりながら弾くことになる4楽章
第九は7部構成です
《第九》の4楽章は7部構成になっています
- 自分の音楽を否定、否定、否定【これじゃダメだ】
- 歌手&合唱団の登場【お待たせしました】
- トルコ行進曲とオーケストラの腕の見せ所
- 天国を思わせる音楽
- フーガの大合唱と弦楽器のスーパー難所
- モーツアルトっぽいところからフィナーレへ
- フィナーレ【どんちゃん騒ぎ】
それぞれ詳しく見て行こう
《第1部》自分の音楽を否定、否定、否定【これじゃダメだ】
4楽章の一番はじめ、ベートーベン自身の音楽を否定します
こんな音楽じゃダメだ、もっと良いメロディーはないのか?
1楽章から3楽章の音楽をもう一度思い出して、違う違うって否定します
まず1楽章を思い出す(動画は1楽章を思いだしている部分)▽
そして、ベートーベンの代わりにチェロさんとコントラバスさんが1楽章のメロディーをこんなんじゃねえって否定します▽
今度は2楽章のメロディーを思い出します (動画は2楽章を思いだしている部分) ▽
2楽章のメロディーも否定します
全然違え
そして、3楽章を思いだす (動画は3楽章を思いだしている部分) ▽
3楽章のメロディーは悪くない、悪くないんだけど、もっと良い音楽はないのか・・・?
もっと良いメロディーはないか、、?
そう考えていると《歓喜の歌》のメロディーラインが頭に浮かぶ
《歓喜の歌》のメロディーラインが頭をよぎる瞬間▽
そして、これだって!っていうメロディーが頭に浮かぶ
これだ!ってひらめいた瞬間、『!』を表しているのが、ホルン
『!』を表してるホルン▽
ひらめいた瞬間の『!』を表現しているので、『ひらめきのホルン』なーんて言われます
ひらいた《歓喜の歌》のメロディーがチェロとコントラバスの演奏ではじまります
チェロとコントラバスで《歓喜の歌》を歌いはじめる部分▽
恐怖のファンファーレ
順番は前後するんだけど、4楽章のド頭のファンファーレは『恐怖のファンファーレ』と言われます
『恐怖のファンファーレ』の譜面&『恐怖のファンファーレ』を実際に演奏しているとこ▽
『恐怖のファンファーレ』はなんでこんなに不安定で、なにか恐怖を感じさせる音なの?
なんで『恐怖のファンファーレ』がこんなにも不安を感じさせるのかというと、和音がぶつかって不協和音になっているからです
冒頭のファンファーレの音を分解すると、二短調と変ロ長調の音になっている
ニ短調と変ロ長調の音がぶつかることで、長調なんだか短調なんだかわからない不協和音になって不安や恐怖を感じさせる
4楽章の2ndヴァイオリンの見せ場
4楽章の《第1部》でどうしても語らせて欲しいのが、187小節目からの2ndヴァイオリンのカッコイイデタシェ
デタシェは1音1音弓を切って弾く奏法のことね
2ndヴァイオリンのカッコイイ部分▽
すみません、解説もクソもないですが、ただただカッコイイです、クソ熱いです
2ndヴァイオリンを弾くなら、本気で練習していく部分、たぶん4楽章で1番気合い入る部分です、少なくともぼくは1番気合い入ります、キタキターってなる
2ndヴァイオリンならしっかり弾きたい部分、熱くいきたい部分 、耳をほじくって聞いて欲しい
《第2部》歌手&合唱団の登場【お待たせしました】
第2部からとうとう歌手と合唱が入ってきます
おまちどうさまでした
バリトンのソロから歌は始まる
バリトンのソロがはじまるところ▽
バリトンのソロの歌詞はこれ▽
O Freude nicht diese Töne!(おお友よ、この調べではない!)
sondern laβt uns angenehmere anstimmen,(もっと快い調べに声を合わせよう、)
und freudenvollere!(喜びに満ちた調べに!)
交響曲第9番〈合唱付き〉 日本楽譜出版社
この歌ではなくてっていうのは1楽章~3楽章のこと、1楽章~3楽章の音楽を否定して、もっと良い音楽をしようと言っています
冒頭のバリトンの歌詞は悩みに悩んで、何度も書き直した
合唱の歌詞はドイツの詩人、シラーが書いた《歓喜に世寄す》から持ってきたのがほとんどなんだけど、バリトンが歌う冒頭の歌詞はベートーベン自身が歌詞をつけた部分
《第3部》トルコ行進曲とオーケストラの腕の見せ所
331小節目からの《弾3部》は、大きく3つに分かれています
- 木管部隊のトルコ行進曲
- 弦楽器のフーガ
- よくテレビでてくる大合唱
もうちょっと詳しく見ていこう
木管部隊のトルコ行進曲
まずは木管部隊によるトルコ行進曲
木管楽器で演奏されるトルコ行進曲の部分▽
なんでいきなりトルコが出てくるのか?
ベートーベンが生活していた音楽の街、ウィーンでは「トルコ風」がブームだったから
世界を支配してた超大国のオスマン・トルコという国があったんだけど、このオスマン・トルコという国はウィーン潰そうとする
オスマン・トルコ帝国のウィーン攻略は失敗するんだけど、オスマン・トルコの文化ウィーンに残ります
ファッション、食べ物、そして音楽
そんなこんなでウィーンに住んでいたベートーベンの耳にもトルコの音楽が耳に入って《第九》にトルコの音楽を入れたってわけ
自然とトルコの音楽に触れる機会が多かった
ウィーンにいたモーツアルトもヴァイオリン協奏曲第5番《トルコ風》を作曲したりしてるね
モーツアルトの作曲したヴァイオリン協奏曲第5番《トルコ風》を聞いてみたい、そんなときはこちら▽
弦楽器のフーガ
そしてオーケストラの腕の見せ所、弦楽器によるフーガです
現楽器のフーガを聞いてみたい、そんなときはこちら▽
弦楽器のフーガかっこいい
#とか♭と臨時記号多くて弾きにくいところもあるけど、結構楽しい部分
テレビよく見る大合唱
第3部の最後は、たぶん、テレビで一番良くみるであろう、合唱の部分です
第3分のラストの合唱を聞きたい、そんなときはこちら▽
合唱で何を歌っているか、歌詞をみてみよう
Freude, schöner Götterfunken,(喜びよ、美しい神々の輝きよ、)
Tochter aus Elysium,(楽園の乙女よ、)
Wir betreten feuertrunken,(我らは情熱に酔いしれ)
Himmlische, dein Heiligtum!(天の、汝の聖処に歩み入る!)
Deine Zauber binden wieder(汝の不思議な力はふたたび結びつける、)
Was die Mode streng geteilt;(時流によって容赦なく引き離されたものを)
Alle Menschen werden Brüder,(すべての人々は兄弟となる、)
Wo dein sanfter Flügel weilt.(汝のやわらかな翼のやすまるところにて)
交響曲第9番〈合唱付き〉 日本楽譜出版社
意味わかんない!(笑)どんなことを言ってるの?
すげー簡単に言うと、みんな平等にに生きようぜって言っています
ベートーベンの生きた時代は、身分差別があり、人種差別があり、男女差別があり、全然平等じゃなかった
生きにくい時代だった
そんな差別だらけの生きにくい社会をなんとかして、平等な社会を作っていきたい
そんな思いが詰まっているところ
もっと合唱の歌詞について深く知りたいっていうときは、この本が面白く解説しています▽
《第4部》天国を思わせる音楽
595小節目からの《第4部》は天国を思わせるような音楽でできています
第4部のはじめはトロンボーンが活躍する
トロンボーンは大天使を意味します
羽のついたおっきな天使が現れてる瞬間って感じ
大天使を意味するトロンボーンがでてくる部分▽
大天使に包まれて、天国の音楽を奏でる、そんな部分
ちなみに、トロンボーンは大天使なんだけど、トランペットは堕天使を意味します
堕天使っているのは、悪いことをして天国を追放された天使のこと
トランペットがでてきたら、堕天使が登場したって感じです
《第5部》フーガの大合唱と弦楽器のスーパー難所
654小節目からの《第5部》は大合唱のフーガです
フーガを超簡単に説明すると、かえるの合唱みたいにメロディーが追いかけっこしてる感じ
4パートで盛大なメロディーの追いかけっこをします
フーガの大合唱の部分です▽
合唱にかき消されるけど、実は第5部のフーガの弦楽器は超難所、、です
ふつーにヴァイオリン協奏曲並みの難易度のところです、早くて、難しい、そして弾きにくい
ちなみに、ぼくは弾けません、ムリっっってなる
フーガの弦楽器の部分▽難所です
フーガに目が行きがちだけど、弦楽器は結構ガッツリ練習しないと、弾けない超難所ポイントでもある
《第6部》モーツアルトっぽいところからフィナーレへ
763小節目からの《第6部》はフィナーレの助走です
どこかモーツアルトっぽい軽やかさがある部分
モーツアルトのなんの曲に近いかっていうと『魔的』かな
モーツアルトの作曲した『魔的』聞いてみたい、そんなときはこちら▽
モーツアルトに影響されたベートーベンを垣間見ることができる
モーツアルトとベートーベンは1度だけ、実際に会ったみたいだしね
《第7部》フィナーレ【どんちゃん騒ぎ】
843小節目からはフィナーレはどんちゃん騒ぎ、です
ゆっくりから入ってスピードアップ、どんちゃんします
演奏している人は、もうヘロヘロな部分です、ベートーベンってエネルギー吸い取られますからね
いつも死にそうです・・・(笑)
乗り遅れないように、、、最後の力を振り絞って、、、、弾く
フィナーレを弾くときに大事なことは、、、気合ですね(笑)
最後は超超超はやい、Prestissimo
Prestissimmoはめっちゃ速く!っていう意味
一気にラストに駆け込みます
《第九》のラストPrestissimoを聞いてみたい、そんなときはこちら▽
演奏が終わると、『良いお年をー』って感じになる
《第九》の初演までの道のりはいばらの道
1824年、ウィーンで第九の初演が開かれました
すんなりと第九の初演が行われたかというとそんなことはなく、第九の初演が開かれるまでひと悶着がありました
トラブルはいろいろあったんだけど、トラブルの一つに『《第九》難しすぎる問題』がある
まあ、難しくて弾けねえっていう苦情がヴァイオリン奏者からでる
難しすぎて歌えねえっていう苦情が歌手からでる
実際に《第九》の初演のコンサートマスターはベートーベンに対して『難しくて弾けない』って言ったんだけど、
コンサートマスターの『難しくて弾けない』っていう申し出に対してベートーベンこんなことを言っている
「私がこのパッセージを書いた時には、私の意識には全能の神がインスピレーションを与えてくれたんだ。彼(神)が語りかけてくれる時に、私は君のその力弱い、小さなヴァイオリンについて、考慮することができるとでも思うのかい?」
《第九》虎の巻 歌う人・弾く人・聴く人のためのガイドブック 曽我大介著
《第九》を含めてベートーベンが弾きにくいのは、楽器の特徴よりも、自分が本当に表現したいことを1番に考えていたからかもね
いろいろと奏者、歌手から苦情は来たんだけど、力づくで練習をし、本番を迎えることになる
初演は大盛況【熱狂するウィーン市民】
1824年5月7日にウィーンで開かれた《第九》の初演
ウィーン市民を熱狂の渦に巻き込んだ
どうしても《第九》の指揮を自分でしたい
《第九》の初演はベートーベン本人の指揮で行われた
ベートーベンの耳はほとんど聞こえなくなっていて、耳の聞こえる別の指揮者が本当の指揮をしていたんだけどね、
《第九》の演奏が終わり、聴衆は熱狂の嵐
でもベートーベンは耳が聞こえなかったので、大熱狂に気が付かない
拍手、拍手、拍手、スタンディングオベーション
アルト歌手(確認)がベートーベンを奏者から聴衆に向きを変える
ベートーベンは《第九》の初演が大成功だったことを知る
忘れられた《第九》、その後
大成功に終わった《第九》、何度も演奏されるのかと思いきや、ほとんど演奏されることはなかった
一時、忘れられたと言ってもいいです
なんで?
《第九》は理解するのが難しい曲だったから
《第九》は当時としてはあまりにも長く、よくわからない歌詞のついている変な曲だった
でも、ずっと忘れられていたかっていうと、ご存知の通りそうじゃない
日本での年末は《第九》だらけですからね
忘れられていた《第九》を復活させたのがワーグナーという人物
ワーグナーは作曲家、指揮者で、有名どころでいうと《マイスタージンガー》なんかを作曲している
ワーグナーの作曲した《マイスタージンガー》が聞きたい、そんなときはこちら▽
ワーグナーは《第九》の良さに感動し、忘れられかけていた《第九》を取り上げ、演奏した
ワーグナーによって復活した《第九》のメロディーは今でも引き継がれ、世界中で演奏されることになる
まとめ
この記事では知っていれば《第九》の演奏がもっともっと楽しくなる、そんなことについてお話してきました
この記事の内容を振り返ってみよう
- 《第九》はベートーベンが30年越しの想いがつまった曲
- 《第九》の重要な音は「レ」と「ラ」の5度の音程
- 1楽章はベートーベンらしい重厚な曲
- 2楽章はスケルツォでリズミカル
- 3楽章はただただ美しい天国の音楽
- 4楽章は合唱付きでどんちゃん騒ぎ
はじめてのベートーベン《第九》、
楽しめる、うん、必ず感動できる
ぼくは本当に感動した、特に3楽章
あまりにも美しかった
こんな美しいものが世界に存在したなんて、そう思った
1人でも多くの人に《第九》で感動して欲しい
今回の記事作成にあたり、以下の文献を参考にさせていただきました
1)吉松隆の調性で読み解くクラシック 吉松隆著
2)第九 ベートーベン最大の交響曲の神話 中川右介著
3)ベートーベンの交響曲 金聖響+玉木正之著
4)交響曲「第九」の秘密 マンフレッド・クラメス著
5)交響曲第9番〈合唱付き〉 日本楽譜出版社著
6)生誕250年ベートーベン《第九》すみからすみまで 『音楽の友』&『レコード芸術』編
7)《第九》虎の巻 歌う人・弾く人・聴く人のためのガイドブック 曽我大介著
8)はじめに読む1冊 ベートーベン ひのまどか著
9)演奏のための楽典 正しく解釈するために 菊池有恒著
《第九》を指導していただいた指揮者の先生、ヴァイオリンを教えていただいた先生、《第九》と真剣に向き合った努力の汗が文章ににじみ出る本を書いてくださった著者の方にお礼を言いたいと思います
本当にありがとうございました
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この記事の著者、めっしーのヴァイオリン教室の特徴
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- 18才からヴァイオリン始めた、ぼくめっしーがレッスン
- アマチュアオーケストラでトップ弾いたり、室内楽弾いたり、今はレッスンで超難曲のパガニーニのカプリースさらってる
- 大人から始めたんだけど、プロを輩出する門下で学ぶ
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