- ドボルザーク新世界のヴィオラパートの弾き方について解説!
- 実際に著者めっしーがレッスンで教えていただいた内容
- 弓幅1cmだけのデタシェで練習すると、曲の輪郭がハッキリする、ppは弓を寝かせて、弓を使う、C線を弾くときは弓を深くもつ、などなど・・
- レッスンを受けた先生は、N響でも弾いてらっしゃった先生です
- 画像&動画付きで分かりやすくお話しています
今度、ドボルザークの新世界を弾くことになった。
大学からヴィオラを始めたばっかりで、どんなことを考えて練習すれば良いかわからん
この記事ではこんな疑問にお答えします
- この記事の著者
Twitter(@messi_agarisyo)
・プロ奏者を輩出する教室でヴァイオリンを学ぶ
・日本トッププロ奏者(NHK交響楽団で弾いてた先生、プロオケでトップを弾いていた先生・・・)にも指導を受けた
・超ビビり&超あがり症。バッハのシャコンヌを発表会で弾いた時、緊張しすぎて、空中分解した経験あり。
・著者めっしーが、実際にドボルザークの新世界のレッスンを受けたときに教えていただいた内容。
こんにちは、超絶緊張しいヴァイオリニスト・ヴィオリストのめっしーです
今回はヴィオラネタ、
新世界のヴィオラの弾き方について。
新世界、ドボルザーク交響曲第9番なんだけど、
大学オケとかで良く取り上げられる曲だよね
はじめてのオケで、新世界っていうパターンもあるんじゃないかな、大学オケとかだと。
この記事では、大学でヴィオラを始めたっていう、初心者ヴィオリストのあなたのために、新世界の弾き方について、解説していこうと思う
著者めっしーが実際にレッスンで教えていただいた内容を元にしています。
レッスンいただいた先生は、N響で弾いていらした先生なので、かなり信頼性は高いかと。
ぜひ、最後まで読んでみてください
ドボルザークってどんな人?
ドボルザークを一言で言うと、真面目で謙虚、
チェコの自然をこよなく愛するヴィオラ奏者(←ヴィオラ弾きはチェックポイント)
そして苦労人。
ドボルザークはチェコの田舎町にある肉屋の長男として生まれた
ドボルザークのお父さんはドボルザークに肉屋を継がせるつもりで育てる
プロを目指しての音楽教育はもちろん、受けてない
真面目なドボルザーク、お父さんの言うこと聞いて、肉屋になろうとする(ほんとは音楽家になりたかったけど、無口で、気弱なドボルザークは反抗できない)
父さん、肉屋の勉強するよ。。。
でも、ドボルザークの周りの人はドボルザークの音楽センスに気がついてて、ドボルザークのお父さんを説得する
彼は天才だ、肉屋になるなんて、頭おかしいと違う?
周りの説得もあって、ドボルザークは音楽の道に進む
待っていたのは貧乏生活
パンを買うのもやっと
昔からやってたヴィオラで食いつなぐ
あるとき転機が訪れる
ドボルザークの才能が買われて奨学生になる
ドボルザークの生活は安定した
それからはトントン拍子
持ち前の音楽センスで、アメリカの音楽院の院長までのしあがる
半分独学で音楽を学んだ自分が院長なんて、
半分独学で音楽を学んだ自分が院長なんて、
そこで作曲されたのが新世界、交響曲第9番
ドボルザークはベートーベンが大好きで、9つ目の交響曲にそれは気合いをいれて作曲した
初演は大成功。
ただ、ドボルザークはアメリカにはずっといなかった
故郷、チェコに戻る
チェコの自然が大好きだった
大好きなチェコの自然に囲まれて、ドボルザークは生涯を閉じる
チェコで最後を迎えられて幸せだった、私はチェコの作曲家だ
自身の音楽の才能だけで音楽会のトップまでのぼるつめた、謙虚でチェコの自然愛する、ひげもじゃのおじさん
交響曲第9番、新世界を簡単に解説
ドボルザークの交響曲第9番、新世界
“新世界”って何よって思うかもだけど、アメリカのこと
新世界作曲のとき、ドボルザークはアメリカにいた
ドボルザークの第9番は、新世界=アメリカから、故郷チェコへ思いをはせる曲。
1楽章《機関車の音楽》
新世界には蒸気機関車を思わせる部分がたくさんでてくる
たとえば1楽章のはじめの方
ここ↑なんかは、まさに蒸気機関車が出発するところ
蒸気機関車大好き
2楽章《ドボルザークのホームシック心を歌った曲》
新世界で一番有名なのは2楽章かな
あの哀愁に満ちたメロディー
2楽章はドボルザークが超ホームシックになっている心を表している
チェコに早く帰りたい
はやく故郷チェコに戻りたい、チェコ大好き、あ”ー帰りたいっていう、気持ちが出てる部分
第3楽章《インディアンの結婚式》
3楽章は、インディアンの結婚式、なーんて言われる
インディアンはアメリカの先住民族のこと、
だから、チェコの音楽じゃなく、アメリカ的な音楽
なんだろ、荒野のガンマンが出てくるイメージかな
アメリカに渡ったドボルザークなんだけど、一番影響を受けたのが黒人の音楽
インディアンの音楽
故郷を思うインディアンの音楽が、ホームシックなドボルザークを鷲掴みにした
インディアンの音楽、、泣ける
インディアン音楽の影響がガッツリ入った、Theアメリカ的な音楽が3楽章
4楽章《1楽章~3楽章の総まとめ》
4楽章は1楽章~3楽章の総まとめ。
1、2、3楽章のテーマの音楽、音の並びがいろんなところに入っている
ちょっと余談なんだけど、4楽章には、ドボルザークが
よっしゃ、もう故郷に帰る
わ!
って叫んでるところがある、らしい。
ただ、ドボルザークがここが、『もう故郷に帰るわ!』って言ったわけじゃなくて、実際どこだかわかんないんだけど、
ぼくはヴィオラの激熱ポイントじゃないかと思ってる
ドボルザークってヴィオラをメインで弾いてたら、ヴィオラと自分を重ねて、『もう故郷に帰るわ!』って言ってんじゃないかなーと、
【1楽章】新世界、ヴィオラパートの弾き方
1楽章の弾き方のポイントについてお話しますね
冒頭は弓を寝かせて、薄く弾く
冒頭のpp、ここは弓を寝かせて、薄く弾く
いつもよりも手首をつり上げて、弓を傾ける(寝かせる)
ppではあるんだけど、弓は中先から中元まで使うのがポイント
ppだからと言って、弓を使わないと、音、重くなる
だから、弓を寝かせて、スーって感じて弓を使っていく
ffは駒寄で弾く。
9小節目からは世界が変わる
ffで弾く。
ここでのポイントは駒寄り。
指板よりで引くと、大きい音、出ない
コマ寄りで弾くと自然と、ffみたいな音色になる
ポイントは弓の圧力だけで弾かないってこと、弾く場所も変える。
音、つぶれちゃうから。
密度の濃い、デタシェで
47小節目から始まるデタシェ、
ここは密度の濃いデタシェがベース
弓を1cmしか使わない気持ちで、一音一音密度の濃い音を出す練習から初める
ある程度できるようになったら、楽譜通りに16分音符で繋げてみるといいかな
1楽章は基本的に密度のあるデタシェでOK
話がちょっと飛ぶんだけど、ここの部分はデタシェのとっても良い練習になる、
基本テクニックの確認になる
おススメの練習方法は上腕を壁につけて、肘だけでデタシェをする練習
壁に腕を付けてデタシェをする練習をすると、体が整理されて、楽にデタシェができるうようになる
なんていうか、体の無駄な動きが取り除かれる感覚というか。
実際にやってみたら、何か感じることがあると思うから、少しだけでもやってもらえたらな、と。
16分音符のティラリラは弓を緩くもつ
77小節目からは16分音符のティラリラが何度もでてくる
ここのポイントは2つあって、
- できるだけ、移弦しない指使い
- 弓を緩く持つ
もう少し具体的に見てみよう
例えば、78小節目から88小節目なんだけど、
こんな風にポジション移動する指で弾く↓
移弦が少ない方が、レガートに聞こえる
あと、16分音符のティラリラを弾くときの右手なんだけど、弓は緩くもつ
理由は弓の上下運動を吸収するため
指で弦を押さえると、弦って上下運動する
弦の上下運動を右手で吸収しないと、弓で弦をずっと捕まえていられなくて、音がデコボコしたりする
どうすればいいか?
上下運動を吸収できるように、弓をやさーしく持つ
弓を優しくもつことで、波に乗ってるみたいに、弓の上下運動を吸収することができる
どうしても移弦しないといけないときは、どうしたらいいの?
今までは移弦しなくても弾けるパターンの話をしてきたけど、どうしても移る弦しなきゃいけない場面も出てくる
例えば、99小節目
こいうとこをどう弾いたらいいかっていうと、
高い弦はちょっと触れればいっかーっていう気持ちで弾く
C線とG線でレ、シ♭を移弦で弾くときなんかは、C線の音がメイン、G線のシ♭の音はちょっと触れて音がでればいいやー、ぐらいの気分で弾くとそれっぽくなる
スタッカートは無理に飛ばさなくてOK
121小節目とかにスタッカートが出てくるんだけど、
スタッカートは無理に飛ばさなくてOK
弓を飛ばそうと思うなら、テンポについていけない
絶対ムリ
さっき説明した、一音一音、密度のあるデタシェで練習しといて、
テンポがあがったら、飛んだらいいなーって気持ちでOK
頑張って飛ばそうとしたら、テンポについていけなくて死んだ(笑)
先生に相談したら、無理に飛ばさなくてもいいよー、というか絶対ついていけないでしょ(笑)と言われた
C線は弓を持つ、薬指がポイント
229小節目からのff、超熱いポイント
ffは基本的に弓をしっかり持って弾くんだけど、
弓の持ち方に特に気を配んないといけないのが低い弦を弾くとき、C線とか
C線を弾くときは弓をしっかり持つ、
弓をフワッと持っちゃうと、弾かれて楽器が鳴らない
薬指を意識するかな。
薬指を意識すると、しっかり弦に弓の重さが載って、C線らしい音が出る
あと、C線を弾くときに、弓を深く持ってもいいかもしんない
弓を深く持つと、腕の重さが弦に伝わりやすくなって、深い音、出しやすい。
戻すだけのスタッカート
また、スタッカートネタ
237小節目のスタッカート
ここも弓を飛ばそうなんて思う必要なし
スタッカートがついてる音は、超低空飛行で元弓に戻す感じでOK
テンポあがったら勝手に跳ねます
トレモロは密度が濃くなくてもOK
よーく楽譜を見ると、横線が2本の16分音符と、横線3本のトレモロがあるのに気が付くと思う
で、トレモロの弾き方なんだけど、
トレモロは今まで話してきた、密度のある音じゃなくてOK
密度のあるデタシェだとね、ついていけない、トレモロにならない
中からちょっと先弓ぐらいで、肘を中心にガンバル、うん
スラースタッカートも最短距離で弓を戻すだけ
今度は、スラースタッカートが出てきた
296小節目。
ここも弓を飛ばす意識は持たない
最短距離で、弓元に持っていく感じかな
レガートは弓先でスタート
304小節目の弓遣い
ここの強弱を楽譜通りに弾くために、ソ#、シーの連続で弓先に持っていく、
そうすると自然とデクレッシェンド、小さくなっていくかな
で、レガートは弓先から入る、繊細に、美しく
【3楽章】新世界、ヴィオラパートの弾き方
3楽章に行ってみよう
密度のあるデタシェで
3楽章でも密度のあるデタシェで練習する
1cmしか弓使わないデタシェねー
例えば、29小節目
ここの8分音符は、1楽章の16分音符と同じように、
一音一音、密度のあるデタシェで練習する
慣れてきたらテンポを上げていくってい練習が良いです
密度のあるデタシェで練習しておくと、テンポを上げたときに輪郭がくっきりする
習ってる先生(N響で弾いてらした方)曰く、N響で弾くときは、全部、密度の濃いデタシェでさらってから練習に参加したそう、
デタシェでさらっておくと、輪郭がバリッてでる。
木管の裏の相打ち、16分音符はなんか入っちゃったーって感じで
64小節目からは木管がメロディー、ヴィオラは伴奏に回る
ここの16分音符の弾き方がポイント、
なんか16分音符がちょっと入っちゃったーっていう感じ。
わからん、もっと詳しく
息を早くフッて吐くと、息を吐いた後、自然とちょっと吸うのわかるだろうか。
そんな感じを弓で表現する
8分音符が吐く息、16分音符が吸う息
16分音符を弾こうなんて思わず、勝手に音が入る感じ、
3連符は軽めで
200小節目とか、3連符が出てくるんだけど、
3連符はデタシェよりも軽めでOKです
8分音符は密度のある音で、3連符はスピード感のある音って感じで、区別できればいいかな
6→5→4→3の拍の取り方
3楽章の最後に、拍がわかりにくいところが出てくる
1小節、6拍から5拍になって、4、3拍
ここで嫌なのはなんといっても、5連符
ぼくは5連符嫌いです、なんかわかりにくい
5連符をどう考えるかっていうと、3+2で考える
よくあるパターンとして、5連符の3つ弾いて、後半2つでブレーキがかかる感じ
だから5連符を3+2と考えると、わかりやすい
らしい。
ぼくはまだまだ苦手なんだけど、(笑)
3楽章の問題、あとはしっかりリズムに乗れるかどうか、かな。
【4楽章】新世界、ヴィオラパートの弾き方
4楽章の弾き方についてお話します
8分音符+アクセントは弓を使えっていう意味
4楽章の4小節目から
16分音符+8分音符アクセントの連続
ここの8分音符アクセントの弾き方なんだけど、弓を使ってあげると、それっぽくなる
16分音符は小さくつかって、8分音符で弓を使う感じ
まずは開放弦で感触をつかんでから、左手をつけるといいかな
3連符の移弦は羽ばたく感じ
100小説目から、3連符の移弦が続く
移弦の3連符なんだけど、手首は腕とまっすぐにして、
上腕をパタパタさせて羽ばたくみたいにする
まずは開放弦でやってみよう
手先じゃなくて、腕で移弦していく。
ヴィオラの激熱ポイントは、弓をしっかり持つこと
153小節目からのくだり、
でましたよ、ヴィオラの激熱ポイント
ヴィオラ激熱ポイントで押さえておいた方が良いポイント、
弓をしっかり持つ、ってこと
特に、薬指。薬指の先まで意識を持つ
1楽章でも似たような話をしたんだけど(忘れた方はこちら)、
C線を弾くときは弓の持ち方が大事、
割としっかり持つ、弓もって振り回せるぐらいかな、ビュンビュンって。
じゃないと、C線の太さに負けて、野太い音、でない
弓は深めに持つのがいいかな、深めに持った方がC線らしい音がでやすいから。
精神論だけど、あとは気持ち、かな
熱いハートを持って弾く。できたらヴィオラの激熱ポイントだから暗譜で。
あとは1楽章と3楽章の内容を応用するればいけるかなー
名演を聴こう、とにかく聴こう
新世界のヴィオラパートの弾き方について話してきたんだけど、
弾くより大事な練習がある。
名演を聞くこと。
とにかく聴こう、浴びるように聴こう。
良い音を知らなければ、一生良い音にならない
良い音が頭にあってこそ、練習する意味がでてくる
頭になっている音に近づけることが、”練習”だから。
新世界の名演を少しだけ聞いてみよう
音質良いものをアップしてるから、重いかも。。。
ちょっとだけ待ってね
世界的指揮者のカラヤンと、またこちらも世界的オーケストラ、ウィーンフィルの演奏↓
ウィーンフィルと双璧をなす、ベルリンフィルの演奏↓
CDとか買ってもいいんだけど、けっこうお金かかるし、You Tubeだと音質悪くてヴィオラ聞こえん、っていうときがある。
そんなときはアップルミュージックがおすすめ。月980円かかるんだけど、何曲聞いても聞き放題だし、音質もかなり良いです。
できたらスコアも読んでみよう
一番大事なのは、良い音を聴くこと、なんだけど、
スコアを読むのも大事
いや、大事っていうか、スコア読んどくと、もっと楽しくなるよ、アンサンブルが
ヴィオラの楽しさってやっぱり、アンサンブル。他のパートと繋がってこそ、生きてくるし、楽しみがある
だから、ちょっとでも良いからスコアを読んでみよう
はじめは絵を眺めるようにパラパラっとみるところからスタート
まずは難しく考えないで、スコアから曲の雰囲気をなんとなーく読み取ろう
アンサンブルがもっと、もと楽しくなる
ヴィオラが上手くなりたい、そんなときにおすすめの曲
ヴィオラがもっと上手くなりたーい
ヴィオラがもっと上手くなりたいっていうあなたに、おすすめのヴィオラ曲&練習曲を紹介するよ
無伴奏チェロ組曲(ヴィオラ編曲版)
ヴィオラが上手くなりたいなら弾いて欲しい曲
チェロの無伴奏組曲
チェロ組曲なんだけど、ヴィオラ版があって弾いて欲しい
いや、今すぐ弾いて、ほんと、このためにヴィオラやってるってぐらいの曲
もう、美しい、
ヴィオラを練習する前にチェロ無伴奏組曲を弾くんだけど、
チェロ組曲を弾く楽器が鳴るようになる
ヴィオラの鳴らし方を教えてくれる曲
お金なくて楽譜金ねえってときは、imslpで楽譜をダウンロードして、今すぐ弾いて欲しいです
imslpっていう無料楽譜サイトに落ちてる、無伴奏チェロ組曲のヴィオラ編曲版の楽譜はこちら
もし楽譜を買うのであれば、ぺータース版↑がおススメです
いろんな版があるけど、表記ミスが少ないらしく、ぼくの先生もペータース版も使ってらっしゃいました
クロイツェル/42の練習曲
二冊目がクロイツェル/42の練習曲っていうエチュード
ヴァイオリンのクロイツェルをヴィオラに編曲した楽譜があります
基本が詰まった曲集
クロイツェルってもう、一生使う練習曲で、なんかわかんないけど、一通り弾くと、頭が整理されるというか、楽に弾けるようになる
他の使い方としては、苦手なところをピックアップするって使い方がいいかな
もしクロイツェル買ってみたけど、使い方わかんねーレッスン行く金もねーっていうときは、お問い合わせor Twitter(@messi_agarisyo) or 下のLINEに連絡ください。
ぼくもまだまだですが、多少はアドバイスできると思います、
クロイツェル以外の質問でもOK
ヴァイオリン&ヴィオラのことなら、どんな簡単な質問でも、お答えさせていただきます